伝説の投資家レイ.ダリオ氏の「30分でわかる経済の仕組み」という動画をみました。備忘録として概略の続きです。
2つの債務周期
取引では何かを得るために何かを提供する必要があり、得られる額はどれだけ生産できるかによって決まります。知識の蓄積が生活水準を引き上げ、生産高を引き上げます。発明家や勤労者は怠慢で何もしない人に比べて生産性と生活水準が向上します。
でもこれは短期で見るとそうでない可能性もあります。生産性は長期的に重要な要素ですが、短期的にはクレジットが大切な役割をします。短期的には生産性は余り変動しません。したがって経済の変動に余り影響しません。でも債務を利用すると生産額より消費額を大きくできます。その一方、返済の際には消費額を縮小することになります。
ここでは一歩下がってこの3つの大きな要素を調べ、その相互作用が経済にどう影響するか考えてみましょう。
クレジットで経済の波が生まれる
経済動向の細かい変動は、経済革命とか雇用環境の変化で起こるものではありません。この変動は、利用できるクレジットの額によって影響されます。
借金をすることは、言ってみれば支出を前倒しすることです。収入以上の買い物をするためには収入以上を支出することになります。これを可能にするには未来の自分から借金をするのです。
こうすると将来返済のため収入より支出を減らすときが来ます。これは波の上下動を起こします。基本的にお金を借りることは変動を起こすことになるのです。これは個人にとっても経済全体にとっても同じです。ですからクレジットをしっかり理解する必要があるのです。
クレジットを発生させると将来予測可能な一連の事態を引き起こすことになるのです。この意味でクレジットはお金と違うのです。
クレジットは必ずしも悪ではない
お金は取引の精算に使われます。飲み屋でビールを現金で買うと、取引はその場で精算されます。でもクレジットを使ってビールを買うとツケが発生します。将来返済するという約束です。あなたと飲み屋は資産と債務をつくることになります。何もないところにクレジットが発生したのです。
クレジットがある経済では、支出は借金をふやせば増加できるのです。したがって、クレジットのある経済では支出がより大きくなり所得の増大が生産力を上回ることができます。
でもこれは短期的であり長期にわたって起こりません。ここで誤解をしないでください。クレジットは単に経済変動を引き起こす悪い要素とは限らないのです。悪くなるのは消費が過剰となり返済ができない場合です。でも経済資源を活用し所得を生み出し、債務の返済を可能にするときはよい要素となります。
クレジットが生みだす経済成長
例えば、借金をしてテレビを購入する場合は、借りを返済する所得は発生しません。でも借金をしてトラクターを買い、収穫量をふやし売上をふやせば、借金を返済できると同時に生活水準を向上できます。
クレジットの存在する経済でクレジットがどんな形で経済成長を生み出すか見てみましょう。
一例を考えましょう。あなたの年収が10万ドルで債務がゼロと仮定します。信用力がありますから、例えばクレジットカードを使って1万ドルを借りることができます。すると収入が10万ドルであっても11万ドルの支出が可能となります。
ぬあなたの支出はほかの人の所得ですから、その人が11万ドルを得たことになります。この人に債務がなく11万ドルの収入があったのなら1万1000ドルを借りることができ、収入が11万ドルでも12万1000ドルを使えます。この人の支出はほかの人の所得ですから同じ原理で見ると、これがさらに経済の波を押し上げることがわかります。
自分なりの要約
- クレジットは未来の自分から借金をすること
- 借金は生産力以上に支出をすることができる
- 借金は未来の支出の前倒しなのだから、いつか支出を減らして返済に当てるときがくる
- だからクレジットが経済の波をつくる
- 借金をしてトラクターを買い、収穫量をふやし売上をふやせば、借金を返済できると同時に生活水準を向上できる
- クレジットのある世界では、ある人の収入10万円は借金をして11万円の支出ができ、その支出を収入にしたそのまたある人は、11万円の収入で借金をして12万円の支出をする。そうやってクレジットは経済の波を押し上げている
まだまだ続きます。
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